教員ブログ

変化咲き朝顔の系統維持活動

著者:maeda

2年生の基礎育種学で育てている変化咲き朝顔「采咲(さいざき)」。采咲は遺伝的には劣性(潜性)で、花弁の切れ込みが特徴的な美しい花ですが、種は採れません。変化咲き朝顔の多くは種が採れないのですが、普通咲きになる兄弟株から採種することで、変化咲きの系統を維持しています。採種用に育てている采咲の兄弟株が変化咲きの性質を持っている(劣性遺伝子を持っている)確率は2/3。したがって、写真の様に採種株を3株育てていれば、3株のうち少なくとも1株以上が変化咲きの性質を持っている可能性は計算上96.3%となります。変化咲きの性質を持つ親株から採種した種を播いたときに変化咲きが出現する確率は1/4です。種の形から変化咲きかどうかを判別することはできないため、実際に種を播いて子葉・本葉の形から変化咲きかどうかを判断します。メンデルの法則を知っていれば、理論的に変化咲き系統の維持方法を理解できますが、江戸時代の日本人はメンデルが遺伝の法則を発見する以前から、同様の方法でこれらの系統を維持してきました。江戸時代の園芸文化レベルの高さにあらためて驚かされます。